シヴァ神(シバ)

ヒンドゥー教ではもっとも幅広く崇拝されている神様の一つです。
「シヴァ」とは、「吉祥」を意味し、バラモン教の中では暴風雨神の「ルドラ」の尊称として用いられていますが、 バラモン教の頃には、特に重要な神様としては、扱われていなかったようです。
ヒンドゥー教が形作られた頃、暴風雨神「ルドラ」の破壊する性格と、人々に医薬を施して生類に恩恵を与える神に2つの性格を持ち始めてきます。

  

シヴァ神は、大きく異なる2つの性格を持ち、土着信仰を吸収した事で、数多くの異名を持ちます。 バイラヴァ(殺戮者):ブーテーシュヴァラ(悪鬼の主):シヴァリンガ(男根):パシュパティ(家畜の主):多臂神ナタラージャ(舞踊の王)、バラモンのルドラ神(風神)などは、全てシヴァ神の異名です。

  

シヴァの一般的な姿は、全身に灰を塗り、首に蛇を巻きつけて、三叉劇と斧を持ち、他の手で恩恵を与える印と恐怖を取り除く印を結んでいます。 腰には虎の皮を巻いて、髪の毛は束ねて高く巻き上げる苦行者のスタイルをしています。
額の第三の目は、シヴァが瞑想ばかりしているので退屈した妻のパールヴァティーが、ふざけて後ろから両手で目隠しをしたところ、世界は闇に包まれ生類が恐れおののいたためそれを救おうとシヴァの額の中央が裂けて、新しい目が生じたと言われています。

  

仏教一般ではシヴァは大自在天、もしくは魔醯首羅と音写されて色究竟天に住むとされていますが、密教においては仏法に従わない神として鳥摩妃とともに、降降三世明王に踏みつけられて調伏されています。